子育て支援と心理学

2018年11月30日 投稿者:井梅 由美子

 昨今、「子育て支援」という言葉が多く聞かれるようになりました。皆さんが住んでいらっしゃる地域にも、子育て支援センターや親子広場など、さまざまな施設があるかと思います。なぜ、子育て支援の必要性がこんなにも言われるようになったのでしょうか?昨今の親になる人たちの子育てが未熟だからでしょうか?
 子どもが心身ともに健康に育つためには、養育者の関わりが必須になります。特に人間の赤ちゃんは多くの動物の赤ちゃんと違い、生まれてすぐは自分一人では何もできない存在ですから、養育者(主にお母さん)の24時間365日、休みないお世話が必要になります。
 子育てはこのように大変な難事業ですので、お母さん一人ではとても大変です。かつては祖父母や親せき、地域の周りの大人たちが、初めて親になる人たちを自然とサポートし、子どもたちの成長を地域で見守ってくれました。そうしたサポートの中で、だんだんと“親らしく”なっていったのだと思います。子育ては本来、親が一人だけでするものではないのです。
 しかし昨今、核家族化が進む中、子育てを自然とサポートしてくれる地域の大人たちの存在はなくなりつつあります。外で悪さをしている子どもたちに「こら~!」と怒ってくれる頑固おやじ(!?)はいなくなってしまいました。子育ての責任は全て“親”。これでは子育ては大変になるばかりです。だからこそ、制度としての「子育て支援」が必要なのです。
 保育所は今、地域の子育て家庭への支援の役割も求められています。保育所の先生は子どもの育ちや保育についてのエキスパート、かつての地域での子育てサポーター(近所のおじちゃんおばちゃん)に代わり、新米ママパパの相談相手として、大変に期待されている存在です。
 私自身の専門は「臨床心理学」で、心の健康やケアについて学ぶ学問領域です。子どもがのびのびと心身ともに健康に育つためには、お父さんお母さんがリラックスして子育てに向かえる環境が必要です。子育て支援と心理学、私たちの心の健康を考える上で大変重要なテーマであると思っています。

 

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井梅 由美子(Yumiko Iume)

プロフィール

専門:発達臨床心理学
略歴:お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得退学。相模女子大学、青山学院女子短期大学の非常勤講師等を経て現職。精神科クリニックや小児科等で臨床活動を行ってきた。