子ども環境の変化と少子化における「ニーズ増大?!」という現象

2019年1月25日 投稿者:上田 征三

 以下は、私が担当している授業(「子ども家庭福祉」「社会的養護」等)やその関連書籍等で触れている内容であるが、それを次の2点で整理したい。第一点目は、少子化における子ども環境の変化であり、第二点目は、少子化なのに「ニーズが増大している?!」というちょっと不思議な現象である。
 まず、第一点目であるが、現代社会の課題は単純にはとらえられない。たとえば、長寿社会をありがたいと思う反面、少子高齢化の社会経済的変化に伴う介護や「孤独」に対する不安が増加するのではという両面があげられる。これまで、少子化にはこれといった歯止めがかからず、2005(H17)年の合計特殊出生率は、過去最低の1.26となり、出生数も2017(H29)年に約94万人と戦後最低となった。このことを、1949(S24)年の第一次ベビーブームの4.32、約270万人、1973(S48)年の第二次ベビーブームの2.14、約209万人と比べると、その数的な変化の大きさがもたらす社会構造の激変が容易に想像できる。(2015年1.45とわずかに上昇したが、出生数は減少が続き、すでに、我が国の人口減が始まっている)以上のように、今後、確実におとずれる超高齢社会における不安の第一点目は、それを担う子どもの数が減っているということから発生しているといえる。
 第二点目は、少子化によって児童に対する支援のニーズが減少するのかというとそう単純ではないようだ。なかなか充足されない保育ニーズ、児童虐待等の社会的問題の深刻さや複雑化等、子育てに対する総合的なニーズの総体は、子だくさんであった以前にも増して大きくなっているのではないかという、一見すると「不思議な」現象が起きている。
 希望であるはずの子育てが、現代社会の複雑さや混迷による社会不安によって子育てをしづらい社会環境や生活のしづらさに直結し、最も立場の弱い子どもたちに大きなしわ寄せとなって襲ってきているといえるだろう。もちろん授業では、天災や事故などの災害の恐ろしさは、豊かさや安全を求めてきた現代社会のもろさを見せつけているが、同時に世代を超えた地域の連帯感や若者をはじめとする多くの支援活動は「人とつながる」感動と勇気を私たちに教えてくれているということも強調している。

 

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上田 征三(Yukumi Ueda)
プロフィール
専門:障がい児教育
略歴:筑波大学大学院修士課程修了後、知的障がい児・者施設での療育やソー シャルワーク部門設立に従事。1998年から大学で「障害児教育論」等を担当し、主にインクルーシブ教育の合理的配慮研究を進めている。