心理学にできることってなんだろう?(川原正人先生)

2015年6月19日 投稿者:川原 正人

私は心理学を専門としています。ここでどのようなことを皆さんにお伝えしようか考えていたとき、ふとテレビを見ると地震や火山に関するニュースがやっていました。時として自然は怖いものになりますが、そうした災害時に生じる心理的苦痛を軽減する方法も心理学が役に立つことの1つなのです。そこで、心理学がこんなところで実際に使われているという例として、心理的応急処置(英語の頭文字をとってPFAとも呼ばれます)というものを紹介しようと思いつきました。

 

PFAとは、深刻なストレス状況にさらされた人々への援助のことです。広く知られているものとして、世界保健機関(WHO)などいくつかの国際的な組織によって作られたWHO版PFAや、それをもとにセーブ・ザ・チルドレンというこれもまた国際的な子ども支援団体によって作られた子ども向けPFAなどがあります。皆さんが軽いけがをしたとき、それ以上ひどくならないように消毒したり絆創膏を貼ったりすると思います。大きなけがであればお医者さんに診てもらおうと判断するでしょう。PFAもそれと同じことなのです。災害など危機的な出来事に遭遇すると誰しも気が動転するかもしれません。そんなとき、自分自身や周りの人が落ち着いていられるような方法を知っているだけでずいぶんと助けになるのです。心の絆創膏とでも言いましょうか。もし、自分の大切な人のつらそうな様子に気づくことができたらどうでしょう?お医者さんやカウンセラーのところに連れていくことが助けになるはずです。これらは専門家が行う治療やカウンセリングのようなものではありません。専門家ではない人もトレーニングを受ければ身につけられる方法なのです。

 

最近、こうしたPFAの研修が行われることも増えてきました。このように心理学は生活する上で実際に役立つ知識を提供できる学問なのです。災害はなるべくなら起きないほうがいいのですが、心理学が世の中に貢献できる例として挙げてみました。興味を持ってもらえるとうれしいです。

 

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川原 正人(Masato Kawahara)
プロフィール
筑波大学大学院人間総合科学研究科退学。専門は発達臨床心理学、コミュニティ・メンタルヘルス。大学附属相談施設、小・中学校のスクールカウンセリング、自衛隊医務室などで臨床活動を行ってきました。