寄生虫と私の関係(鈴木哲也先生)

2015年11月13日 投稿者:鈴木 哲也

私は以前から寄生虫のことが気になり飼育してみたり標本にしてみたりしています。今回は寄生虫と私の関係について書きたいと思います。
 
思い起こせばもう20年以上前からずっと理科と生命尊重の関係を研究しています。生命尊重を考えるうえで環境倫理学という分野が密接に関係しています。
 
その中で、「人間の個人と同等に生物種を守るべきである」という主張があります。どういうことかと言いますと例えば人間一人の命とミズラモグラやアズマヒキガエル、サツキツツジやオオシマザクラという種(しゅ)は平等に守らなくてはならないということを主張しているのです。
 
感覚としては正しい気がします。人間に害があるとか人間に役に立つとかに関係なくそれぞれの生物種はそれぞれ世代を超えて生存し続ける権利があるということなのですが、ここで疑問に思ったのです。
 
人間に寄生する生物の場合、今の理論からすると寄生生物も種のレベルでは生存の権利を認めることになってしまうのですが、そうすると人間が病気になったり死んでしまったりしてしまいます。マムシ(ヘビ)のような場合であれば人間に害があっても遭遇しないまたは住みわけるなどの方法がまだとれますが、体内に住まれてしまっている場合そしてその生物がその体内でしか生きることができない場合もその生物種を守らなくてはならいのでしょうか?
 
こんなことを思いながら寄生虫のことをもっと知りたくなって段々とエスカレートしていき、寄生虫の授業を高校や大学でしてみたり実際に飼育できるか考えてみたり、さらには中高向け講座を開きプラスチック寄生虫標本づくりをしてみたりしてきたのです。寄生虫に関して殺す研究はありますが寄生虫に興味をもってもらう研究があまりないのではと思っています。
 

ゴマサバから取り出したアニサキス(幼生) (酢酸カーミンで染色しています。本当は透明です。意外と長いですね。)

ゴマサバから取り出したアニサキス(幼生)
(酢酸カーミンで染色しています。本当は透明です。意外と長いですね。)

 

プラスチック寄生虫標本(アニサキス幼生)

プラスチック寄生虫標本(アニサキス幼生)


 
現在までにわかったことは寄生虫の中には必ずしも住んでいる人間の体にあまり悪さをしないものもいること(例えばカオダニとか)、アニサキスという寄生虫は人体に寄生せず体外で飼育できること(高校生にやってもらったところ3ヶ月生き続けました)、寄生虫であっても中高生の一部は自分で見つけて一生懸命標本を作ると愛着がわき親近感を持てるようになるということです。未だに体内に住む寄生虫の種をどうすべきかについての解答はありませんが興味を持ち知ってもらうことは大事なのかなと思っています。
 
今回アニサキスの親の写真は掲載しませんでした。興味のある方は国立科学博物館の地球館1階や目黒寄生虫館を訪問してみてください!
 
 

suzuki_tetsuya
鈴木 哲也(Tetsuya Suzuki)
プロフィール
筑波大学大学院博士課程教育学研究科満期退学、埼玉純真短期大学非常勤講師(他)、秀明大学学校教師学部専任講師を経て現職。自由の森学園中学・高等学校においても非常勤講師を経験。専門は理科教育学、生物教育学。