「装い」とは

2015年11月27日 投稿者:鈴木 公啓

私の専門とする研究テーマは装いである。装いというと,あまり具体的なイメージがわきにくいかもしれない。ここでの装いとは,化粧,アクセサリー,ピアス,タトゥー,美容整形などなど,外見を変えるために用いるすべてのモノや方法を意味している。そのため,基礎化粧品によるケアや,整髪,はたまた纏足までが装いには含まれる。
 
装いは非常に広い内容を含んでいるのみならず,時代と文化を問わずおこなわれるもの・ことでもある。装いは,かなり古くからおこなわれている。約7万5千年前の地層から,ビーズの首飾りが発掘されている。洞窟の壁画よりも古い時代のものとなる。また,世の中のあらゆる文化で装いがおこなわれている。もちろん,用いる内容は異なる。例えば,日本や西洋の文化からみると一見ほぼ全裸に見える場合でも,完全に何も身に着けていないということはない。首飾りなど,なにかしらの装いをおこなっている。
 
装いは,ヒトと他を区別するための重要なツールといえる。ヒト以外の動物は,装いをおこなわない。ヒトのみが装いをおこなうのである。ある文化では,生まれてきた子供に文身(いれずみ)を入れる。これは,身体に加工をおこなうことによって,動物ではないということ,つまり,ヒトであるということを意味しているとのことである。言語の使用がヒトの特徴というのはよく知られているが,実は,装いをおこなうこともヒトの特徴なのである。
 
このように,ヒトという存在に密接に関わる装いではあるが,この装いをメインの研究テーマとする研究者は実は多くはない。というか,極めて少ない。あまりにも身近すぎるテーマというのが,その原因の一つといえるかもしれない。しかし,装いは日常生活にも密接に関わっており,重要な研究テーマともいえる。
 
装いが日常生活でどのように役に立つのか,どのような影響があるのか,そして,子供の装いにどのような問題が現在生じているかなどについては,次の機会(があれば)にでも述べさせて頂けたらと思う。
 
 

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鈴木 公啓(Tomohiro Suzuki)
プロフィール
東洋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門はパーソナリティ心理学・社会心理学。分担執筆に『他者を気にするこころと行動』。