世界を見ると何かが変わる

2015年12月11日 投稿者:その他

東京未来大学には、カンボジアの小学校や孤児院を巡って活動するボランティア・プログラムがあります。私は、そのプログラムで何度か学生を引率してきました。そのたびに、実感すること。それが、「世界を見ると何かが変わる」です。
 
ある年、全てのボランティアを終え、アンコール・ワット観光を楽しんでいるときでした。子供を6人ほど連れて一緒にスケッチしている女性に出会いました。聞くと、近くの孤児院のスタッフということでした。
 
翌日、観光スケジュールを変更し学生たちとその孤児院へ。前日に出会った女性スタッフが笑顔で迎えてくれました。実は彼女も2歳から孤児だそうで、今は子供たちから「お母さん」と呼ばれ慕われる存在。
 
「私にはこんなにたくさんの子供が居ます。だから、毎日が幸せです。」
決して恵まれた生活ではなかったでしょうし、今も大変な毎日。特に夜は、幼い子供たちを順番に起こしトイレに連れて行かないとおねしょをしてしまうため、十分には寝られないそうです。それでも、笑顔で温かく子供と接する姿には感心するばかりでした。
 
またこの孤児院では、小学校が朝と昼の2部制になっている(午前中に小学校に行った子供は午後に帰ってくる。午後に小学校に行く子供は、その逆)ため、授業のない半日を利用して、英語と音楽・図工を指導されていました。日夜生活を共にしながら、こうした指導もしている。本当にすごいことです。
 
そして、最も私たちを感動させたのは、そのような生活をしながら、孤児院横の広場で裸足になって子供たちと一緒に遊ぶスタッフの姿でした。それこそ、汗と泥でグチャグチャになって…。私も学生たちも「何かボランティアしてあげよう」という気持ちで訪ねました。しかし、子供たちや孤児院のスタッフと一緒に遊びながら、そのような気持ちが間違いであったと気付かされました。
 
帰国後、とある学生が語ってくれました。
「ボランティアというのは何かをしてあげることだと思っていました。しかし、そうではなくて、理解することだと気付きました。」
 
彼女の今後の人生や、保育士としての生涯を考えたとき、とても貴重な気付きだと思います。やはり、「世界を見ると何かが変わる」のですね。
 
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鈴木 光男(Mitsuo Suzuki)

プロフィール

「実践研究家とは、自らの実践を通して理論を導き出す」を胸に、27年間小学校現場で美術教育や総合学習を中心に研究してきました。主な著書は、『子どもの絵』、『教師が生きる総合的な学習』です。