人生の岐路

2016年3月18日 投稿者:出口 保行

大学院で発達心理学を学んでいた時、恩師から法務省の心理職にならないかと勧められました。
 
これが人生の第一の岐路です。当時は、主に中高生の共感性の発達を研究していて、非行少年や犯罪者を心理分析することなど頭の端にもなかったので、非常に驚きました。恩師曰く、「君は研究者を目指すより実務で実力を発揮するタイプ」とのこと。ただし、臨床を専門としていなかったので、こうした仕事ができるのかという不安が大きく、また、そもそも幅広い心理学の知識を身に着けないと試験に合格できないので、ハードルを越えられるのかと大きな不安を持ちました。そこで、すでに少年鑑別所や刑務所で心理職として働いている方にお話を伺うために各所を訪ね歩き、業務内容等について教えていただくことから始めました。
 
最終的にはとても業務内容に興味が持てたため、その道に進むことになりましたが、第二の岐路は法務省に入省して12年目に訪れました。辞令をもらうとそれまでには見たこともない配属先が書いてありました。「法務省法務大臣官房秘書課国際室勤務を命じる」。そもそも秘書課なるものがどこにあるのかも知りませんでしたから、これは大変なことになったと心の底から不安になりました。それ以前に国際連合の研修等に参加していたので、いつかはこういうこともあるかとは思いましたが、それが現実になることに驚き、のしかかるような重圧に押しつぶされそうになりました。心理職が秘書課勤務を行うのは異例中の異例です。だれかに聞くわけにもいかず、悶々としながら着任の日を迎えました。何とか2年間の「お務め」を果たして現場に復帰し、心から安堵したのを今でも覚えています。
 
そうこうするうちに第三の岐路。本学の立ち上げが広報され、大学院時代から夢であった大学で働くという選択肢を選ぶかどうか、本当に悩みました。法務省に何かの不満があってということは一切なく、どちらかといえば順風満帆だっただけに、夢をとるか現実をとるか・・・・。結局、夢をとって現在の充実した生活に至っています。
 
人生の岐路。誰にでもありますが、どう選択するかは難しいですね。
 
 

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出口 保行(Yasuyuki Deguchi)

プロフィール

専門:犯罪心理学、臨床心理学、青年心理学

略歴:大学院修了と同時に法務省に心理職として入省。全国の少年鑑別所や刑務所で犯罪者の心理分析を担当した。現在もマスコミにおける犯罪解説やバラエティ番組出演も多数。