“苦手意識”って、どうして生まれるの?

2016年5月20日 投稿者:日向野 智子

嫌いじゃないけど、なぜだかうまくいかない人っていませんか?できるなら関わりたくない、一緒にいると落ち着かないなど・・・。誰にでも“苦手な人”って、いますよね。どうも、この人だけは苦手…。

 

でも、それは、どうして?

 

理由や原因がハッキリしている場合もありますが、よく分らない場合もあります。自分自身の、そんな“苦手意識”は、見ないようにすれば、ずっと見ないで済むことなのかも知れませんが、そこにある“どうして?”という疑問に向き合うと、これまでに見えていなかった自分の気持ちや自分と相手との関係など、今までとは違った側面がみえてきます。

 

苦手意識をもつと、苦手な人や苦手意識を感じる自分自身に対してネガティブな感情がめばえます。ネガティブな感情は、不快でこころを乱すものですから、そのような時には心の平穏を取り戻そうと動機づけられます。こころを乱す相手、すなわち、苦手な人とのかかわりを最低限なものにし、距離をおきたくなります。

 

ですが、現実には、学校や職場や近所づきあいなど、苦手な人と関わらなければならない状況がたくさんあります。逃げたくても逃げられない関係性のなかで苦手意識を感じる。苦手意識なんて些細なことと思われるかもしれませんが、対人関係における苦手意識はストレスになりやすく、時には、心身の健康を脅かす存在にもなってしまいます。

 

ですから、苦手な人と仲良くならなくても、挨拶を交わしたり、マナーを守ってつきあったりするだけでもよいのではないでしょうか。苦手意識は、自分を不快で不安定にするものから遠ざけ、これ以上ネガティブな感情に陥らないよう、苦手な人と自分との距離を調整してくれるのかもしれません。そんなふうに、苦手意識の見方を少し変えるだけでも、苦手意識を不適応から適応に変えるためのヒントが得られるかもしれません。

 

私はこのような観点から、対人関係における苦手意識の特徴や生起過程、苦手意識の影響などを社会心理学的に研究しています。

身近な人間関係について振り返り、興味関心を持って生活することが、社会心理学的研究の第一歩になります。みなさんも、他者の存在や身近な人間関係、集団の一員としての自分など、日ごろからさまざまな人や出来事に関心をもってみてはいかがでしょうか。これまでとは違った、新しい発見が得られるはずです。
 
 

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日向野 智子(Tomoko Hyugano)
プロフィール
専門:対人社会心理学
略歴:2003年、昭和女子大学大学院生活機構研究科博士課程修了(学術博士)。東洋大学21世紀ヒューマン・インタラクション・リサーチ・センターPD、立正大学心理学部特任講師を経て、2013年より現職。