人生の重大事を決めるとき

2016年6月3日 投稿者:平部 正樹

みなさん、こんにちは。こども心理専攻の講師の平部です。専門は、臨床心理学です。心理学の理論をもとに、こころの問題を持つ人に対する援助方法を考えたり実践したりする領域です。心理療法やカウンセリングと聞くと、みなさんイメージがわきやすいでしょうか。私は大学で教員をしながら、病院や学校でカウンセリングをおこなってきました。

 

さて、このコラムを読んでいるなかには、大学で心理学を学んでみようと考えている高校生の方も多いのではないでしょうか。大学で何を学ぶのか決めることは、人生における結構大きな選択ですよね。私も、大学で心理学を学ぼうと決めたことや、大学院に進学して臨床心理学をより専門的に学ぼうと決めたことなどが、今の仕事をしていることに大きく関係しています。私の人生の岐路といえるかと思います。

 

さて、こんな仕事をしている私が、よく訊かれる質問があります。それは、「なんでカウンセラーになったのですか?」というものです。ちょっと答えに困ってしまいます。なぜなら、理由もきっかけも、あらためて考え始めると、結構難しいのですね。私の場合、人生の岐路において何か重大なことを決めるとき、ひとつの明確な理由やきっかけがあることって少ないように思うのです。それよりもいろいろなことが少しずつかかわり合って、その流れの中で、ひとつの判断が生まれてくることが多いのですね。小さな判断の積み重ねが、重大な場面でのひらめきにつながっていくというイメージでしょうか。大学で心理学を学ぼうと決めたことも、大学院に進学しようと決めたことも、そんな感じなのですね。それをひと言で人に説明するのはなかなか困難なわけです。ちなみに、私は、その理由を考えることを放棄しているわけではないです。むしろ、こういう仕事をしている私が、一生考え続けるべきテーマかもしれません。

 

みなさんはなぜ大学で心理学を学ぼうと思っているのですか?明確な理由を説明できる人もいれば、私のように説明しづらい人もいることでしょう。個人的には、きっとどちらでも構わないのだと思っています。今理由がはっきりしている人はそれでよいですよね。今は漠然として理由がよく分からない人も、きっといろいろなことを総合して判断しているのだろうと思います。その意味を、後からじっくり考えるのも悪くはないのかもしれませんよ。

 

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平部 正樹(Masaki Hirabe)
プロフィール
専門:臨床心理学
略歴:早稲田大学大学院人間科学研究科修士課程修了。東邦大学助手、目白大学専任講師等を経て、現職。これまで、医療領域、教育領域、産業領域での心理臨床活動に従事してきている。