第10回 福祉セミナー(沖縄セミナー)に向けて

2016年12月9日 投稿者:上田 征三

今回は、私が主催している福祉セミナーについてご紹介します。来年で第10回目となりますが、学生参加も含めて多くの方のご協力をいただいています。

さて、9年前、このセミナーを沖縄県の伊江島で始めたきっかけは、障がい者・高齢者に対する制度・施策が毎年、猫の目のように変わり、学生や若い福祉関係者や障がい当事者などがその制度学習だけに追われ、ヒューマンサービス本来の「人に出会う」機会が奪われていることを何とかしたいという思いからでした。

昨年は、戦後70年という大きな節目の年であり、沖縄戦の本質とは何かを振り返ることは、現代社会で障がいのある人たちと共に生きていくことを考える上でも大きなヒントがあると考えましたが、セミナー後、改めて、そのことを実感致しました。

また、「障害者の権利に関する条約」(以後、「条約」とする)に関して2014年1月20日の批准書を国際連合事務総長に寄託し、これにより、本条約は、同年2月19日に効力を生ずることとなりました。この間、国内外の当事者を含むNGO/NPOの“Nothing about us without us!”(わたしたち抜きでわたしたちのことを決めないで!)という合い言葉に象徴された国連を舞台とした活動や政府に関わる取組から、次に、そのできたばかりの「道具」を、自治体レベルでどのように使っていくかということが問われる段階に至りました。

さらに、研究のレベルでは、障がい児教育や支援は、学際的な取組が求められていますが、例えば、教育の現場では、特別支援教育のノウハウが通常の教育に非常に有効であるという研究や報告が増えています。

今後は、行政やサービス事業者・教育機関などが実践の場で、どのように障がいのある人と向き合っていくかが問われています。学生や福祉関係者にとって、制度に関する正確な知識ばかりでなく、「人に出会う」中から自分の価値観(センス)を磨きあげることが問われるなか、第10回を迎える本セミナーの意義も大きくなっていると考えます。

そこで、学生や若手福祉関係者や障がい当事者などが、沖縄という地域のフィールドワークを通じて、「人に出会う」ことにより、体験的に学ぶことで、一見、無味乾燥な制度の文言が、具体的な意味をもち、自分らしく生きることが阻害されている原因を追求し、今後のあり方や問題意識を高められるセミナーを開催したいと思います。

皆さんのご参加をお待ちしています。

 

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上田 征三(Yukumi Ueda)
プロフィール

専門:障がい児教育

略歴:筑波大学大学院修士課程修了後、知的障がい児・者施設での療育やソーシャルワーク部門設立に従事。1998年から大学で「障害児教育論」等を担当している。主にインクルーブ教育に関する合理的配慮に関する研究を進めている。