本当はどんな気持ち?なぜそうしたの?をしっかり考える大切さ

2017年5月26日 投稿者:金 瑛珠

「モウ、キナクテ イイ」

子どもに言われたこの一言とその時のその子の表情は、約20年経った今でも忘れません。

 

学生だった私は、保育園で、3週間、3歳児クラスにて実習をさせていただきました。実習最終日は土曜日だったので、その前日の金曜日、クラスの子どもたちに、担任の先生から、私の実習が翌日で終わりになり、その後は大学に戻って勉強をすること、きっとまた遊びに来てくれるだろうということを伝えて下さいました。多くの子どもたちが、「また来てね!」「絶対、来てね!」と笑顔で言ってくれた中、A君だけはなんとも言えない表情で、冒頭の言葉を言ったのでした。

 

この実習中、A君はとてもよくなついてくれて、私にべったりくっついていました。それ以前の実習では、特定の子どもとばかりかかわらないようにと指導を受けたため、A君とずっといて良いのか悩むこともありましたが、先生方から、A君がこんなに大人とのかかわりを求めていたなんて、普段、気が付かなかったし、そこまで私たちはかかわってあげられていなかったから、可能ならば、A君の思いを十分に受け止めてあげて欲しいと言われました。子どものことを、このように考えてあげられる先生方が、とても素敵に見えて、私もこんな保育者になりたいと強く思った実習でした。A君に「モウ、キナクテ イイ(もう来なくていい)」と言われても、「また、会いに来るね!また一緒に遊んでね!」と伝え、その後、いろいろな形でそのクラスの子どもたちが卒園するまで、保育園に通いました。

 

もう一人、おとなしいBちゃんとは、今一つ、しっかり関わることができないまま実習が終わるのかな、と思っていた最終日前日、“やっと、一緒に遊べた気がする!”と思える瞬間がありました。翌日、わざわざ、園に手紙を届けてくれました。

 

私の専門領域は、保育学、です。子ども同士の育ち合い、子ども理解、そして、保育者の専門性、等に関心を持ち、保育現場に通い続けています。約20年前に出会った子どもたちと先生方の存在は、私に大きな影響を及ぼし、その後も様々な出会いがあり、今の私がいます。上記のエピソードと私自身の専門領域、興味・関心がどのようにつながっていくのか、気になる方は、どうぞ話に来て下さい。

 

「本当は?」と見えないものを考えること、見えたことから「なぜ?」と考えること、学生たちと、保育者たちと、共に考えることを大切にしています。そのベースには、専門知識も当然、必要です。保育者は専門職ですから。

 

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金 瑛珠(Youngjoo Kim)
プロフィール
専門:保育学
略歴:大妻女子大学大学院家政学研究科児童学専攻修士課程修了後、教育嘱託員として公立幼稚園で勤務。心理相談員、千葉明徳短期大学准教授を経て、現職。保育者養成の傍らで巡回保育相談を行っている。