臨床心理学からみた「ひきこもり」と私

2018年6月8日 投稿者:野中 俊介

 私は,主に「臨床心理学」や「ひきこもり」のことを専門にしています。
 はじめてひきこもりの人と直接かかわるようになったのは,まだ大学生で臨床心理学を学び始めたばかりの頃,ボランティアとしていくつかの「居場所」や「フリースペース」と呼ばれる集まりに参加したときでした。ボランティアとして参加するまで,ひきこもりの人とほとんどかかわったことがなかった私は,当初は「ひきこもりの人って,みんな落ち込んで元気がないんだろうな」,「みんな部屋の端で黙ったままなのかな」と想像していましたが,良い意味で裏切られました。もちろん,緊張からか,なかなか周囲の人との話に参加できないような人もいましたが,そのような人ばかりでもなく,初めてのボランティアで緊張気味の私よりもむしろ積極的に話しかけてくれたり質問してくれたりする人もいて,本当にさまざまでした。そのとき私は正直なところ,「なんでこんなに元気なのにひきこもりなんだろう」と疑問に感じ,スタッフの人に尋ねると,「実際にはあの人(元気にみえるような人も)大変な状況なんだよ」と教えてもらって驚いたことを覚えています。

 

 このようなきっかけでかかわり始めた「ひきこもり」ですが,ひきこもりの人は,どのくらいの年齢の人か,みなさんご存知でしょうか?ひきこもりのことに関心をもってくれた大学生に尋ねると,「中高生くらい?」や「大学生くらい?」という印象を持っていることが多いように思います。しかし実際には,私も初めて知ったときは意外に思ったのですが,30~40代の人がもっとも多いという調査結果がいくつも報告されています。そのため,最近では,親子ともに「高年齢化」したときにどのように生活を成り立たせるかということそのものも大きな問題です。

 

 いま振り返ると,私が臨床心理学やひきこもりのことを取り組むようになったのは,自分が思っていた常識と実際のズレに驚き,「なぜだろう」と疑問に感じたことが1つのきっかけかもしれません。

 

野中先生
野中 俊介(Shunsuke Nonaka)

プロフィール

専門:臨床心理学
略歴:早稲田大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。臨床心理士。民間相談機関カウンセラー、東京都公立学校スクールカウンセラー、国立精神・神経医療研究センター非常勤研究員などを経て現職。