運動が得意って遺伝するの!?

2018年8月3日 投稿者:真家 英俊

 運動やスポーツの場面で、「あの子は運動神経がいいね!」なんて言葉を耳にすることがあります。皆さんは「運動神経がいい」ですか?
 私たちの身体には、実際に「運動神経」と呼ばれる神経があります。生理学的にみた運動神経とは、身体を動かすための筋肉に運動指令を伝える神経のこと。でも、この運動神経、はたらきや性能は私たち皆同じ、スゴい運動神経をもっているから運動が上手というわけではないんです。だから、「君は運動神経いいの?」って聞かれたら、胸を張って答えましょう、「普通!」って。

 

 ところで、皆さんは体力測定をやったことがありますよね。次の測定のうち、遺伝の影響がもっとも大きいと考えられるのはどれでしょうか?
 ①50m走のタイム  ② ボール投げの距離  ③ 反復横跳びの回数

 

 双子を対象として身体のさまざまな特徴を調査した結果、一卵性双生児においてもっとも類似性が高い、つまり遺伝の影響がもっとも強いのは筋肉の性質(専門的には筋線維組成)であったという研究報告があります。筋肉の性質が強く関係し、動作が比較的単純でスキル(技能)の関与が小さい短距離走のタイムは、遺伝の影響が大きいと言えます。それに対して、身体の動かし方やパフォーマンスの成果は、形態的な要素と比べて遺伝的な影響が少なく、むしろ練習や訓練などの後天的な影響が大きいと考えられています。ボール投げの距離や反復横跳びの回数にも筋肉の性質は関係しますが、「投げ方」や「身のこなし」といった動作のスキルも大きく影響します。そう、遺伝の影響がもっとも大きいのは「① 50m走のタイム」です。

 

 一般的に「運動神経がよい」とは、「動作が巧み」であることを例えた表現です。その動作の巧みさには、遺伝的な影響よりも、練習などによる運動スキルの獲得が大きく関与しているのです。そして、その運動スキルを獲得するのにもっとも適した時期が幼児期〜児童期。子どもの頃にいっぱい身体を動かす、たくさんの動作を経験することは「運動が得意なる」ためにとても大切なことなんですね。

 

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真家 英俊(Hidetoshi Maie)
プロフィール
専門:運動生理学、スポーツバイオメカニクス
略歴:東京学芸大学大学院教育学研究科修了。体力医学研究所に所属後、三幸学園スポーツ系専門学校(東京/横浜)の教員を経て現職。