第85回 広告を見た人は買ってくれるのか?

投稿者:渡邊 隆之

 テレビを付ければ、(NHK以外は)広告が四六時中流れ、電車に乗れば目の前に広告が、街を歩けばいたるところに広告が、バス1台丸ごと広告媒体になっていることも!スマホをいじれば、これまた広告!

 なぜ、これほどまで多くの広告が私たちの身の回りにあるのでしょうか?何の効果もなければ行われないでしょうから、何かしらの効果が期待できるから行われているはずです。では、どのような効果なのでしょうか?「広告を見たら買ってくれるから」でしょうか?

 

 かつてスーパーマーケットに品揃えされた食品と日用品の新製品で、テレビCMが投入されている40品目の購入者に対して調査を行いました。棚から商品を手に取って買い物カゴにいれた時点にその場で、なぜその商品を手に取ったのか、それを購入しようと考えたのか、を尋ねたのです。その結果、そもそもその商品の購入を事前に計画してきた人は全体の25%程度でした。そのうちの約50%が「広告を見たから」でした。確かに購入を計画してもらう効果が広告には存在していたのですが、購入者全体からみるとわずか13%に過ぎません。この程度の効果なのに多額の広告費を投入する意味があるのでしょうか?

 

 この調査であることに気が付きました。その商品の購入を計画して来なかった人々の中に「この商品の広告を思い出したから」という回答があったのです。そして、その比率は何と全体の18%だったのです。テレビCMが記憶に内在し、売場でその商品を見て記憶から引き出された結果、購入に結び付いたのです。これはまさに間接的な広告の効果といえましょう。こうした購入を「広告想起購入」と名付けました。

 

 買い手の記憶に残るような広告を制作し、また、売場では広告を想起しやすくする工夫が重要となることは言うまでもありません。さてどのようにすればよいのでしょうか?

 この続きは次回としましょう。ぜひ、記憶しておいてください!

 

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渡邊 隆之(Takayuki Watanabe)
プロフィール

専門:マーケティング、消費者行動
略歴:早稲田大学大学院商学研究科博士前期課程修了。(株)イトーヨーカ堂を経て、学習院大学大学院経営学研究科博士後期課単位取得退学。(財)流通経済研究所理事、創価大学・沖縄大学教授を経て現職。