第87回 蜜柑と独楽

投稿者:岩﨑 智史

 4年生の卒業研究の提出が終わり、ホッとしたのも束の間、年の瀬に教員ブログの依頼が来た。締め切りは1月半ば、テーマは「各学部と専門領域の関連性、可能性」。なかなか厄介なお題だ。専門は認知心理学なので、認知と感情のお話として「人はネガティブな気分(ポジティブな気分)の時に、嫌な(楽しかった)出来事を思い出しやすくなる」といった気分と記憶について書こうかとも思ったが、お正月や受験のある1月のテーマに相応しくない気がしたので断念。で、しばらく考えて、お正月らしく、「蜜柑」と「独楽」について書くことにした。心理学なのに「蜜柑」と「独楽」とは如何なもんかと我ながら思う。我ながら思うが、日常場面と心理学の接点を考えると時期的に丁度良い。それに、下手に商品やキャラクターを使うと著作権や意匠権に引っ掛かりそうでもある。
 さて、冬になりスーパーなどでネット入りの蜜柑をよく見かけますが、蜜柑のネットは大体、赤色です。ネットの色が黒や緑ではなく、赤色なのには理由があります。これは、赤いネットに入れた方が、蜜柑の色が鮮やかになり、より美味しそうに見えるからです。このような現象を同化現象と言います。他にもオクラやニンニクなどのネットに入って売られているものは、素材の色を鮮やかに見せるために同色のネットに入れて売られています。蜜柑やオクラをネットから取り出してみたら、思ったよりもキレイな色でなかったのは、このためです。また、照明器具の影響もあります。光の中には色味成分(波長)が含まれていますが、照明器具によって、その色味成分が異なります。そのため、照明器具によっても色の見え方が異なりますが、物体に当たって跳ね返えってきた光(反射光)によって、色を知覚しているためです。一般的に蛍光灯は青味成分が含まれるため、食品や料理の色味がくすんでしまうと言われます(今は、青味成分がカットされた蛍光灯もあります)。
 先ほど、物体に当たって跳ね返えってきた光(反射光)によって、色を知覚していると書きましたが、下の独楽(ベンハムの独楽の模倣)を回すとどのような色が見えるでしょうか。ぜひ試してみてください。

 

岩﨑先生図

 

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岩﨑 智史(Satoshi Iwasaki)
プロフィール

専門:認知心理学
略歴:立正大学大学院心理学研究科博士後期課程修了。東京未来大学 こども心理学部助手、同助教を経て現在、東京未来大学モチベーション行動科学部講師。