第23回 就職活動にSWOT分析を利用しよう

投稿者:篠崎 雅春

前回(第7回)は就職活動において3C分析というマーケティングの分析手法を利用することを説明しました。今回はSWOT分析という分析手法を使った就職活動についてご説明したいと思います。

 

SWOT分析とは、外部環境(世の中の流れ)である機会 (Opportunities)、脅威 (Threats)と内部環境(自社資源)である強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、の4つのカテゴリーで要因分析し、事業環境変化に対応した経営資源の最適活用を図る戦略策定方法の一つです。

 

あるベンチャー企業のSWOT分析例

*「その他」には可能な限り多くの要因を羅列する

*「その他」には可能な限り多くの要因を羅列する

 

つまり、自社を自分に置き換えて、自分の強み、弱みと世の中の流れを組み合わせて分析するのです。今まで強み(弱み)だったことが、外部環境の変化に伴って弱み(強み)に変わっていないかを分析するのです。

 

司法試験は文系最難関の資格であり、これを取得するとなれる弁護士。でも、近年は弁護士事務所など法律専門職にこだわるあまり、就職ができない弁護士資格保有者が数多くいるのをご存じでしょうか?また、コンビニより多いと言われる歯科医院も競争が激しく、経営が成り立たなくなっているところも数多くあります。どちらも昔はこの資格さえあれば人生安泰と言われていた職業です。

 

少子高齢化などで、これからの日本経済の成長もあまり期待できませんが、産業の中には衰退していくものと成長していくものが混ざっています。人材市場においても衰退していく産業ではあまり期待できませんが、成長産業では人材不足に悩んでいる企業がたくさんあります。当然、成長する産業においてはこれからの活躍の舞台が広がる可能性が大きいです。

 

では、どのような業界や職業がこれから必要とされるのでしょうか。現在、東京未来大学モチベーション行動科学部の3年生の2人がSWOT分析に基づいて、将来を見据えた活動・研究している事例をご紹介しますので、そのヒントにしていただきたいと思います。

 

「ビッグデータ」って言葉を聞いたことがあるでしょうか。

FacebookやTwitterさらにはLINEといったSNSやスマートフォンが普及することによって爆発的に増えたインターネット上の情報のことを言いますが、これらを社会に役立つものとして分析する職業を「データサイエンティスト」と言います。現在、この職業を目指している学生はほとんどが理工系で、技術的な知識はあっても、何のために分析するかという目的意識が薄い人がほとんどです。

Aくんはゼミで心理学を専攻しています。心理学を学ぶ学生の動機は様々ですが、心理学を学ぶと必然的に統計の知識や解析手法の知識が必要となります。彼は心理学の知識を持ったデータサイエンティストを目指していて、大学内の研究だけでなく、実際にデータ解析を業務とする企業経営者に会ったり、インターンシップをするなどして、現実に触れています。また、どの大学の学生よりも早く、企業や社会人がほとんどの団体「一般社団法人 データサイエンティスト協会」の会員となっています。データサイエンティストに対する社会のニーズは爆発的に増えると予想されています。

 

「ハラール」って言葉を聞いたことがあるでしょうか。

日本市場だけではなく、無限に広がる海外市場に挑戦している日本企業も多くなりました。従来ですと、自動車や電気機器といった製造業の大企業が海外市場を目指していましたが、多くの大企業は日本から海外に生産拠点を移しています。しかし、このような大企業が築いた「日本ブランド」の高品質・安全というイメージは海外では絶大なものがあります。これからの目指すべき市場は欧米先進国ではなく、経済発展の著しい、アジアや今まであまり進出していなかったイスラム諸国だと言われています。

「ハラール」とは、世界人口の約4分の1、約16億人にのぼるイスラム教徒にとって、食べる(飲む)ことが許されている飲食品のことです。言い換えると、口にしてはいけない様々なものがあるということです。

Bくんはワインボトルに入った1本1万円以上もする超高級茶を製造販売している企業でインターンシップをしています。新聞やテレビでも紹介されているので、ご存じかもしれませんが、現在のところは日本のブライダル市場などの高級シャンパンが使用される特別な場での利用に務めているようです。日本にいると「そんなお茶、誰が買うんだ?」と思いますが、世界を見渡すと、そのようなお祝いの席でもお金は持っているのに、お酒が飲めない国もあります。それがイスラム諸国、とりわけ中東の産油国諸国です。Bくんは、現在、サウジアラビアから来た留学生といっしょにインターンをしながら、大学ではハラール市場を研究しています。

 

このように自分自身のSWOT分析をして、他の人が気づく前に、大学生のうちから外部環境の変化をとらえて、自分の強み、弱みを認識して励んでいけば、就職活動も楽しいものになるでしょう。ただし、外部環境変化を捉えるためにはふだんから新聞を読んだり、ニュースに接する習慣をつけておくことが必要となります。

 

篠崎雅春
篠崎 雅春 (Masaharu Shinozaki)
プロフィール
今まで数々の企業や行政などを巻き込んでプロジェクトをプロデュースし、それを就活や社会人としての成功に導いてきました。私はあなたの「プロジェクトX」のシナリオライターであり、プロデューサーです。