第21回 アプリと心理と日常と

投稿者:岩崎 智史

いろいろと思うところがあり、ガラケーユーザーなのですが、最近、良くも悪くもアプリ関連の話題を目にする機会も増え、折角なので貸与されたiPadでいくつかのアプリを触ってみた。仕事や教育に関するアプリからゲームアプリまで取りあえず、気になった無料アプリをダウンロード。もちろん、人気の無料アプリもトライ。

 

いや~、とても面白い。

 

操作性が悪く、ストレスを感じるアプリは触らなくなり、場合によっては削除。ユーザビリティ(使いやすさ)が悪いといくら無料でも駄目なのね~、と実感。学生時代にならった行動の随伴性にも関わるな~と、少し思考。

 

我々人間は、Aという行動(原因)に対し、Bという結果が得られた場合、AとBの時間が近いと関連があると考えます。例えば、ボタンAを押した直後に照明Bがついたら、ボタンAと照明Bは連動していると考えます。ボタンAを押しても照明BがつかなければボタンAと照明Bは連動していないと考えるのと同じです。そして、ボタンAを押して、しばらく経ってから照明Bがついた場合、ボタンAか照明Bの調子が悪いと感じます。そして、少しイライラし、ストレスを感じます。ユーザビリティの場合、情報の配置位置など他の要因も関わりますが、反応の良さというのも重要だなぁ~、と考えさせられました。
(余談ですが、某ファーストフードでは注文から商品提供までの時間を30秒としているそうです。30秒を超えると人は長い、待たされていると感じるからだそうです。)

 

さて、アプリのお話に戻ります。

 

アプリゲームも大変面白く、興味深い。さて、無料アプリゲームをいくつか触ってみたところ、やはりアイテム課金によって収益を得ているようです。と言うことは、収益を得るためには、(1)ゲームを知ってもらう。(2)継続的にゲームをしてもらう。(3)アイテムを買ってもらう。の3つの要素が少なくとも必要に思います。
ここで、注目したいのは(2)の継続的にゲームをしてもらう、です。これは新しい行動形式を獲得して、その行動を維持することになります。本来、新しい行動形式を獲得して、その行動を維持するには相応のエネルギーが必要です(このエネルギーのことを心的努力と言ったりもします)。まぁ、大変な努力が要るわけです。
で、アプリゲームの中には、行動維持の仕組みが秀逸に感じられるものが見受けられます。アプリの中には、ゲームにアクセスするとログインボーナス(報酬)がもらえます。さらにマップをクリアするとランダムでアイテムがもらえることがあります。ゲーム内通貨なんてのも存在します。ん~、ある行動に対して報酬が得られる仕組みが組まれています。それも定時間隔と変動比率で。お金まであります。
いわゆるオペラント条件付けにおける強化スケジュールと代理貨幣が上手く組み込まれているようです。(イルカやアシカ。サルなどに芸を覚えさせるためにも利用されます。ただし、報酬の与え方を工夫しないと最大の効果は得られません。)そのため、ゲームをすると報酬がもらえるため、ゲームするという行動は維持されやすくなります。

 

最近、巷で話題に挙がるアプリですが、心理学の知見から見つめなおすと新たな発見があるかもしれません。特にSNSなどコミュニケーション要因も加味されているので、より心理学的な視点での、新たな活用方法の提案に繋がるかもしれません。また教育現場でも、アプリの活用やそれに伴う弊害(携帯依存やネットいじめなど)など、ますます日常場面との関わりが深くなると思います。

 

普段の日常も別も視点で見直すと新たな発見があるかもしれません。

 

 

岩崎智史
岩崎 智史 (Satoshi Iwasaki)
プロフィール
研究分野は認知心理学といわれる分野です。その中でも特に、個人の知識が認知に与える影響について興味があります。最近は認知と香りの関係について勉強しています。