第30回 大学時代の思い出

投稿者:その他

モチベの竹橋です。高校生の皆さんに向け、言葉を伝えるチャンスをいただけて、嬉しく思っています。今回は私が大学時代に経験したこと、そして今になって気づいた「充実した人生を送るコツ」についてお話したいと思います。

 

私が高校生のとき、新世紀エヴァンゲリオンというアニメが放映されていて、その影響もあってか、私はアニメや小説が好きでした。大学に進学した私は、もともと好きだったことを満喫したいと思い、SF研究会というサークルに入りました。それから1年間、本を読んだり、仲間と上映会をしたり、「それまで通り」楽しい日々を送りました。好きなことに囲まれているのですから、楽しいのは道理ですよね。でも、このサークルは男ばかりで、いわゆる青春とは無縁でした。そこはちょっと、いや、大いに残念で、自分も青春したいなと思っていました。

 

そんな時、同じ研究室になった人から、「演奏会に来ませんか?」と誘われました。その人は混声合唱サークルに入っていて、新入生向けのイベントがあるので、よければ遊びに来ないかとのことでした。演奏会に行ってみて、ぴんと来ました。ああ、環境を変えれば、青春できるんじゃないかって。どちらかといえば、私は音痴な方でしたが、青春できそうな環境にいれば上手くいくと考え、合唱サークルに入りました・・・さて、卒業するまで、それなりに楽しくはあったのですが、正直あまり充実してはいませんでした。

 

大学を卒業した後、大学院では心理学を専攻し、モチベーションの研究で博士号を取得。名古屋大学の教員になり、可愛い奥さんと結婚し(!)、市役所や大企業とも一緒に仕事をしました。私の研究テーマである「モチベーション」の日本唯一の学部ができると聞いて、幸運なことにポストを得ることができました。大変なことはありますけれど、人生で今が一番充実しています。

 

大学時代とその後では人生の充実度に大きな違いがありますが、原因は何でしょうか?きっかけは、ある先生の言葉でした。「プレゼンス(自分らしい存在感)を大事にしなさい。君はそこそこ賢いかもしれないけれど、もっと賢い人はいる。だから、自分にしかできない貢献の仕方を考えるのが大事だ」・・・初めは全く理解できなかったのですが、プレゼンスという言葉が妙に耳に残って、研究や仕事をする時は常に頭にありました。どうしたら、自分らしく社会に貢献できるのだろう?そうしたら、だんだん人生が充実してきました。もともと好きなことしたり、望む環境にいたりしたはずの大学時代よりも、ずっとです。不思議ですよね。

 

幸福について調べた、こんな研究があります。学生にお金($20か$5)を渡して、使うように指示しました。どのお金の使い方が最も幸せだったと思いますか?

 

①    自分のために$20使う

②    自分のために$5使う

③    誰か他の人のために$20使う

④    誰か他の人のために$5使う

 

たぶん多くの人は①を選ぶんじゃないかと思います。しかし、実際にお金を使った後の気持ちを調べると、③と④は他よりも幸福で、③と④には差がありませんでした。つまり、誰かのためにお金を使うことは自分のためにそうするよりも、ずっと気分を良くするらしいのです。きっと、本質的な幸せというのは、他者とつながっていて、自分らしく何かができたときに感じるものなのかもしれません。

 

 

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竹橋 洋毅 (Hiroki Takehashi)
プロフィール

名古屋大学大学院環境学研究科で博士号(心理学)を取得後、同大学助教を経て現職。専門領域は社会心理学で、目標の考え方が動機づけに与える影響について研究しています。趣味はボードゲームやミステリなど。