第36回 八王子から沖縄へ、そして東京の下町へ

投稿者:渡邊 隆之

私は、18年間勤めていた八王子の大きな大学を辞めて、2011年4月に沖縄の小さな大学に転職しました。その理由は、極めて明快です。沖縄が大好きになってしまったからです。
 
沖縄に永住したいと思っていたら、沖縄大学で私の専門領域である「マーケティング」担当教員の募集があったのです。一か八かの応募でしたが、人生何度目の強運なのでしょうか。沖縄での研究・教育をスタートさせることになったのです。沖縄を変革できれば、日本を変えられると直感的に思ったあの日を覚えています。
 
その私が、現在では生まれ故郷の東京の下町のこの大学に在籍することとなりました。「モチベーション行動科学」という新たなコンセプトを立ち上げた大学に興味を大いに惹かれました。これまで心理学の領域であったモチベーションを様々な学問領域から横断的に研究し教育する画期的な試みなのです。沖縄大学には大変申し訳なかったのですが、1年で退職し、この下町に舞い戻ってきました。
 
「マーケティング」とは、極めて乱暴に言ってしまえば、「買う気」というやる気を高めるための実学に他なりません。「買う気」を高めることが出来れば、「売る」行為さえ不要となります。買っていただき生活を豊かにすることで消費者に喜ばれ、売れることで働く人々の生活を向上させることが出来ます。まさに、購買を原点としたモチベーション研究そのものなのです。学際的にモチベーションを研究し、教育するという環境の中で、これまであまりお付き合いのなかった学会の先生方から、新たな知見や発想をいただいています。この大学で働けることそのものが、私の研究意欲を刺激し、モチベーションを高く維持してくれています。
 
私が就職したこの東京未来大学が、2011年3月11日に被災した福島県双葉町出身の私の母が今も一人で住む実家に最も近い大学である、というのはおそらく沖縄の島々の神様の仕業に他なりません。
 
 

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渡邊 隆之 (Takayuki Watanabe)
プロフィール
学習院大学経済学部卒業、早稲田大学大学院商学研究科博士前期課程修了。その後、実務を経て、(財)流通経済研究所入所、主席研究員、理事を経て、学習院大学大学院経営学研究科博士後期課程修了、創価大学経営学部教授、沖縄大学法経学部教授を経て、2012年4月より現職。