第48回 選挙権年齢引下げ後、初の選挙を間近に控えて

投稿者:田澤 佳昭

平成27年6月、公職選挙法等の一部を改正する法律が成立・公布され、翌28年6月19日以降、満18歳以上の人が選挙で投票できるようになりました。言い方を少し変えれば、これまで《選挙で投票する権利》を制限されていた満18歳以上、満20歳未満の人にも、その《権利》が認められるようになった、ということになります。平成28年には、参議院議員の半数が7月に任期満了を迎えますから、参議院議員通常選挙でその《権利》を初めて行使することになるかもしれません。
 
憲法12条では、「憲法が国民に保障する自由及び権利」について、これを保持する努力を怠らないよう、国民に《義務》づけています。また、その《権利》を行使する際には、「公共の福祉」のために行使する《責務》を国民は負うとしています。かなり厳しい表現ですが、「義務」や「責務」を果たさなければ、どんな「自由」や「権利」も得られない、ということなのです。《選挙で投票する権利》をもつ人も、その例外ではありません。「公共の福祉」のために、どのように選挙権を行使するべきなのか考えなければなりません。政治は、政治家や公務員だけが考えるものではないのです。国民一人一人が、政治について、きちんと理解しておく必要があります。
 
その点、高校生であれば、「現代社会」や「政治経済」という科目で、政治の基本的な事がらについて学ぶことができます。高校生であっても、投票日の翌日までに18歳の誕生日を迎える人には、在学中に、選挙で投票する機会がありますから、その準備のために、これらの科目を頑張ってみるのも良いでしょう。選挙で投票するのは先のことだから大学生になってから学べば良い、と先送りできなくなったことは、かえって好都合なのかもしれません。また、高等学校での学びが土台となって、大学で「政治学」や「国際政治」などの科目を履修すれば、さらに理解を深めることができるでしょう。
 
選挙権をもったことで面倒な義務を背負い込んでしまった、とは思わないでください。独裁国家にいて「自由」や「権利」を制限されてしまうよりも、「自由」や「権利」を守る力を、自分が今もっているという幸せを、ぜひ実感してみてください。
 
 

田澤佳昭
田澤 佳昭 (Yoshiaki Tazawa)

プロフィール

専門:国際政治

略歴:日本大学大学院博士後期課程政治学専攻満期退学。道都大学短期大学部専任講師・同経営学部専任講師・准教授を経て現在。南シナ海・東シナ海の沖合無人島嶼・海洋境界をめぐる国際問題を研究。