第53回 いま、足立区がアツい!-連携、交流がコミュニティを変える-

投稿者:その他

今日、日本の多くの地域では、少子高齢化の進行にともなう人口減少が進みつつあるといわれています。都内の商店街を歩いてみても、地方の農山村を訪れてみても、確かに、子どもや若者たちが少なくなったと実感することが多くなりました。人口減少は、コミュニティの崩壊、生活基盤の脆弱化につながるとの懸念もありますが、反面、縮小しつつあるコミュニティや地域生活のあり方をあらためて考え直し、それらを現状に即したかたちに再編、再生させていく意欲的な取り組みも数多く紹介されています。かつてのように、大規模な事業で地域を潤すことは難しくなりましたが、ユニークな発想・アイデアをもった若者たちが、行政や市民団体、企業などと連携して、地域社会に新しい風を吹かせる、そんな「元気なまち」が、いま、数多く生まれつつあります。

 

東京未来大学は、今年、開学10周年を迎えました。足立区千住曙町にキャンパスを置いて、ちょうど10年がたったわけです。この間、足立区は本当に大きな変貌を遂げたといってよいでしょう。治安の悪さや学力の低さなど、区の積年の課題といわれていたことも大きく改善され、最近では、むしろ、若者たちが住んでみたい、訪れてみたいまちへと、これまでの区のイメージを大きく変えつつあります。なかでも、北千住エリアは「住みたいまち」ランキング18位、「穴場だと思うまち」ランキング堂々2年連続1位(民間企業の調査結果)となり、今や5大学を有する都内有数の「元気なまち」へと生まれ変わりました。

本学も区内大学の一つとして、開学以来、足立区役所や地元の企業などとさまざまな取り組みを進めてきました。私の研究室も「ふりポテ」や「大人のウエハース」など、産・学・公・金連携による新商品の開発をはじめ、地元の企業、NPOや経済団体と足立区を元気にする活動に数多くかかわっています。ちょうど先週も、区内で昔遊びの普及に取り組んでいる「ベーゴマ普及協会」(NPO法人寿活支援協会)のみなさんにお越しいただいて、学生たちと(ベーゴマを通じて)交流し、子どもの居場所づくりについて意見交換をしたところです。子どもたちが暮らしやすいまちにしていくために、何ができるのか。老若男女がコマまわしを通じていっしょに考えるとても楽しいイベントでした。

 

少子高齢化は、確かに難しい課題を数多く含むものです。しかし、それをネガティブなものととらえるのではなく、むしろ「少ない子ども(若者)」と「地域で活動する高齢者」とを結びつける試み、つまり、少子と高齢とを連携させた新たなまちづくりへとつなげていく可能性をもったものと位置づけてみるのもよいかもしれません。これからの地域コミュニティは、(人口においても、規模においても)確実に縮小していくことになります。こうした「縮小する社会」のもとでは、たとえば、これまで10人でしていたことを3人でしなければならなくなるわけです。役割や仕事を共有していくためにも、世代をこえた新たな協働、連携は不可欠です。まちづくりは、むしろ、私たち自らが、こうした社会の到来に備えて、意識改革を図ることでもあり、また、世代間交流や産学公連携の意義や手法を皆で考えることでもあるといえるのではないでしょうか。「まちづくりは、ひとづくり」といわれますが、将来のまちづくりの担い手を育成・輩出する大学の役割も、今後ますます大きくなっていくことでしょう。

 

画像1:産・学・公・金連携による東京未来大学発の新商品「ふりポテ」

furipote

 

画像2:ベーゴマを通じて地元のNPOと交流する学生たち

ベーゴマ1

 

ベーゴマ2

 

 

ishizaka_tokunori
石阪 督規(Tokunori Ishizaka)
プロフィール
専門:社会学
略歴:広島大学大学院修了後、三重大学講師、准教授を経て現職。多くの自治体で、まちづくり、産業振興、男女共同参画などの審議会委員を歴任。著書に『ニートを救う地域のネットワーク力』など。