第67回 人はなぜ歴史を学ぶのか

投稿者:山﨑 善弘

なぜ我々は歴史を学ぶのでしょうか。私が専門とする歴史学は過去を対象とする学問ですが、過去そのものに意味があるわけではありません。我々が生きる現在、ひいては未来にとって意味があるから歴史を学ぶのです。

歴史を暗記科目として捉えている人が多いように思いますが、それは本来の歴史の学び方ではありません。歴史を学ぶということは、歴史的事実を知ったり、歴史用語を覚えたりすることではないのです。少なくとも、大学で学ぶ歴史学はそのような立場に立っています。

歴史を学ぶということが、仮に歴史的事実を知ったり、歴史用語を暗記したりすることであるとすれば、コンピューターに勝る人間はおそらくいないでしょう。何より、それらは歴史の教科書をはじめ、辞書や専門書などに記されています。特段覚える必要はありません。大切なのは、歴史に学び、現代、さらには未来をよりよく生きるためのヒントを得ることです。その意味では、歴史学は現代学であり、未来学としても捉えることができます。

人はなぜ学ぶのか、と問われれば、私なら、人は幸せになるために学ぶのだ、と答えます。各種の資格を得るためとか、職務上必要であるからとか、様々な回答があるでしょう。しかし、詰まるところ、できるだけ幸せに生きたいから、人は学ぶのではないでしょうか。現代社会は平穏に見えながらも、様々な困難を抱えています。そうした問題を克服し、よりよく生きるためには、ゼロベースから考えるよりも、過去の歴史に学ぶことが有用です。古代ローマの歴史家クルティウス・ルフスは、「歴史は繰り返す」(History repeats itself.)と述べましたが、確かに人間は長い目で見れば同じようなことを繰り返し行ってきました。そうであれば、時代は違えども、現代社会が抱える困難と同様の困難を過去の人々が経験し、克服してきた歴史もあるでしょう。歴史に学べることは多くあるのです。過去の歴史を顧み、よき点は装いを新たに現代社会にどんどん活かしていきたいものです。そのことが、よりよく生きることに繋がると私は信じています。

高校生の皆さん、上記のような観点から、本学で私とともに歴史を学んでみませんか。

 

yamasaki_yoshihiro
山﨑 善弘(Yoshihiro Yamasaki)

プロフィール

専門:日本近世史、社会科教育学
略歴:関西大学大学院文学研究科史学専攻博士課程後期課程修了。神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター研究員、奈良教育大学教育学部特任准教授を経て現職。