第68回 「買う気」という「やる気」の高め方

投稿者:渡邊 隆之

テレビのスイッチを入れれば、様々な製品やサービスのCMが我々の目に耳に飛び込んでくる。あるいは、家の新聞には様々なお店のチラシが折り込んである。電車の車内にも様々なポスターが掲示されている。コンビニやスーパーに出向けば、ここでも売場の棚には「○○円引き」、「○○個買うと1個おまけ」などというポスター(正確にはPOPという)が買う気をそそる。

売場でのポスターなどによる情報提供は「セールスプロモーション」と言われる。その場で買うという「行動」を促進することを目的としている。それに対し、CMやチラシ、同じポスターでも前者のものは、購入時点・地点で提示されたものではなく、他の時点・地点での情報提供である。その目的は「態度」を変えることである。態度に働きかけるのが「マーケティング」の発想である。行動をより効果的に変えるためには態度を変えることが有効である。

態度に働きかける、とはその商品やサービスを消費することのベネフィットを訴求する、すなわち内的に動機づけることである。すると、行動に働きかけるセールスプロモーションは外的な誘因として動機づけする方法であり、両者はまさにモチベーションを高める方法に他ならない、と気付く。

ところで最近では、スマホをちょっと手にすれば、目の前に様々な広告が飛び交い、その場での購入も可能となっている。これまでは、買いたくても目の前に商品やサービスがあったわけではないので、一旦記憶して、改めて行動たる購買をしにお店に向かっていた。よって、態度を変えたからといって、そのすべてが行動に結びつくわけではなかった。しかし、ネットでの購入は、態度と行動をほぼ同時に変えうるゆえに行動に結び付ける確率を高めた。また、SNSを利用すれば、購入の前でも後でも様々な情報を入手し、また発信することも可能だ。SNSは行動することを後押しし、また行動後の満足を促進する機能を果たしている。

 

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渡邊 隆之(Takayuki Watanabe)

プロフィール

専門:マーケティング、消費者行動
略歴:早稲田大学大学院商学研究科博士前期課程修了。(株)イトーヨーカ堂を経て、学習院大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。(財)流通経済研究所理事、創価大学・沖縄大学教授を経て現職。