第74回 中国の社会経済発展についての一発見

投稿者:金塚 基

 私は、少し若い時(中国経済が急速に発展するスタートの時期)から中国をフィールドとして教育格差の問題をリサーチしてまいりましたので、中国の都市のイメージといえば建設の工事現場に最も強い印象があります。それと交通渋滞や近年では大気汚染によるスモッグといったところでしょうか。日本でも昔はよく見られた光景かもしれませんが、日本との違いは人口を含めてそのスピードもさることながら規模も質も数段上な点でしょう。

 しかし、中国の国外からではなく、実際の国内の都市に赴いて感じられるイメージは、より微視的で強烈なものになるようです。このあたりが、フィールド・ワークの重要性を示しているともいえるのですが、3年前に現地で経験したインパクトのおかげで、それ以後まだ一度も中国に足を運べておりません。

 3年前、中国出張にむけてある有名サイトから良さげな現地のホテルを予約しました。私は朝食大食漢で、当然、朝食付きのホテルプランをサイトから事前予約=決済したのですが、フロントの女性曰く「改修のため先週末で朝食プランは終了」というのです。頭が少々混乱しましたが、「これが中国の文化だ」などと半ば強引に専門家気取りの自分に言い聞かせ納得・理解しようとしました。

 仕方なく朝食を求めて通学・通勤集団で混雑する裏通りをさまよっていると直ちに靴底に何かがへばりつきます。やはり散乱した生ごみや腐汁の類が延々と路上に散乱しており、これも中国の日常の風景とはいえ、このような通りの傍らで食する気持ちになれず、餃子20個(=最小販売数)を持ち帰りました。ごみ道中には、短パンで髪の長い洗練された若い女性が歩いていたのですが、その足に目をやると不可解なちり紙の切れ端がふくらはぎにくっついて一緒に移動していました。しかし、取ってあげに行く勇気がありません。

 その後、ホテルの自室内で用を足したところ、今度はこっちにちり紙がありません。ペーパー自体部屋のどこにもありません。中級ホテルのくせにどうして最重要課題を忘れるのか。落ち着いて頭の中で八方塞がりの状況を再確認した後、さらにパニックに陥りましたが、ただ惨めな中国出張となったことを天に報告するのみでした。

 ポイントを整理すると、経済発展しているといわれる中国では、①インターネットの取引が不能、②都市環境のインフラが不備、③第3次産業(サービス業)が未発達、ということが強いインパクトをともなって1日で理解されるのです。

 スタートから油断ならない中国社会に直に触れることで、外からではわからない様々な事実がわかってきます。まさに「百聞は一見に如かず」ということではないでしょうか。しかし、それ以後まだ一度も中国に行けておりません…

 

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金塚 基(Motoi Kanatsuka)
プロフィール
専門:教育学・生涯教育
略歴:早稲田大学教育学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(教育学)。帝京大学福祉・保育専門学校専任講師などを経て、東京未来大学モチベーション行動科学部准教授~現在に至る。