強力な必殺技のために必要なこと

2020年1月24日 投稿者:篠原 俊明

こんにちは。
 先日、親族の5歳の男の子から「お兄ちゃん、たたかおう!(おじさんと呼ばれない時点で、良い気分。)」と言われ、遊んでもらいました。
 もちろん、彼はヒーロー、私は怪獣やワル者です。彼は、テレビ局やプロダクションの垣根を越えて、様々なヒーローに変身して、多彩な必殺技を繰り出します。一方、私は、彼に攻撃してはいけないというルールがあるので、その必殺技からひたすら逃げます。彼は、必殺技の名前を叫びながら「お手玉」を投げ、私は逃げるという、壮絶な戦いでした。
 
 私は、子どもたちの体力・運動能力や運動習慣について研究をしています。そのひとつとして、子どもたちはどうやって運動が上手になるのか(運動発達)ということについて、研究しています。
 皆さんは、今、イメージの中で右手に野球ボールを持っています。それを思いっきり遠くへ投げてください。その時、脚はどうなっていましたか?「脚の動きがなかった人」、「右脚を前に出した人」、「左脚を前に出した人」がいたと思います。投げ方が上手な野球のピッチャーの投げ方をみると、右手でボールを投げ、左脚を前に出しています。つまり、右手と左脚を使って投げることが、上手な投げ方となります。皆さんは、いかがでしたか。
 ヒーローの彼に話を戻すと、彼は「右手で投げ、右脚を前に出して」お手玉を投げていました(必殺技を繰り出していました)。彼はまだ、上手な投げ方に発達する途中にあるといえます。
 では、彼が今後、上手に投げられるようにするためにはどうすればいいのでしょうか。その答えは、たくさん遊ぶことです。決して投げ方のトレーニングをするのではなく、遊ぶことです。運動を上手にできるようになるためには、遊びながらその運動をたくさん経験することが大切です。遊ぶ中で、投げることをたくさん経験して自然と投げ方が上手になっていきます。そして、遊ぶ中で、ボールを捕ったり、走ったりと、投げる以外の運動もたくさん経験して、色々な運動が上手にできるようになっていきます。
 幼児期や児童期は、人生において最も運動が上手にできるようになる時期です。この時期に上手にできないと、その後もできないままということもあります。実際、授業中「右手と右脚を使ってボールを投げる」大学生を目にすることがあります。子どもの時にたくさん遊んで、様々な動きを経験することが、運動を上手に行うためには大切なのです。
 きっとヒーローの彼は、たくさんの遊びを通じて「左脚を出して投げる」ことができるようになり、より強力な必殺技の使い手になって私の前に立ちはだかるはずです。更なる激闘が予想されますが、その成長した姿を見ることを今から楽しみしています。
 「おじさん」と呼ばれないことを信じて。。。
 

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篠原 俊明(Toshiaki Shinohara)

プロフィール
専門:体育科教育学、発育発達学
山梨大学大学院教育学研究科修士課程修了。東海学院大学短期大学部助教、講師を経て現職。体育授業実践、子どもの体力・運動能力や運動発達について研究している。