教育とは他者の人生を豊かにするためのもの

2020年2月21日 投稿者:白石 雅紀

 私は主に保育士養成に関わる社会福祉関連の授業を担当していますが、授業をしていると「大学で学ぶ意義」について学生から質問を受けることがあります。この類いの質問をしてきた学生に対し、私はプリンストン大学のアン=マリー・スローター教授の以下の言葉を伝えています。「今受けている教育は、長い人生の中でずっと活用できる。教育とは自分を支えると同時に、他者の人生を豊かにするためのもので、その他者の中には子どもも含まれる」。
 大学で学んだ専門的な知識や物事に対する見方、考え方は今後社会の中で生きていく自分を支える礎となります。さらにアン=マリー・スローター先生の言葉通り、「教育とは他者の人生を豊かにするためのもの」でもあります。なぜ、自分が大学で教育を受けることが、自分以外の他者の人生を豊かにするのか。それは自分が保育者や教員になり、子どもと関わるときのことをイメージすれば理解しやすいかと思います。大学での学びを通じ、保育士などの対人援助職や教職に就けば、直接自分以外の他者の人生を豊かにすることが可能となります。
 この他にも大学での学びが自分以外の他者の人生を豊かにする場面は多々あります。例えば自分の子どもを育てることを想像してみて下さい。大学で学んだ教育は直接的に、または間接的に自分の子どもの人生を豊かにしてくれます。特に保育や幼児教育等、子どもに関する授業で学んだ知識は将来自分の子どもを育てる上で、大いに役立つでしょう。
 自分の子ども以外の他者に対しても、大学での学びは有効です。私が担当している社会福祉の授業では障がい者、LGBTQ+、ホームレス等、多様な方々を取り上げます。彼らは「普通」とされている枠組みから外れるが故に、現代社会において生きづらさを感じている場合が多いです。彼らに対して直接的な支援は行わなくとも、自分自身が世の中には多様な人がいることを理解し、彼らに対するちょっとした配慮ができるようになれば、それは同じ社会で暮らしている自分以外の他者の人生を豊かにすることにも繋がります。自分のために、他者のために、社会のために。是非、大学で沢山学んで下さい。
 
引用文献
アン=マリー・スローター(関美和訳)『仕事と家庭は両立できない?「女性が輝く社会」のウソとホント』NTT出版、2017年
 

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白石 雅紀(Masanori Shiraishi)

プロフィール

専門:社会福祉、国際福祉
略歴:岩手県立大学社会福祉学部卒業、岩手県立大学社会福祉学研究科博士後期課程修了、秋田看護福祉大学社会福祉学科助教、修紅短期大学幼児教育学科講師