心理学と研究法とオンライン・インタビュー

2021年2月5日 投稿者:横地 早和子

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、私が一番困っているのは「研究ができない」という事です。心理学の研究方法は、実験法、調査法、検査法、観察法、面接法など様々あります。私が主に用いるのは、観察法や面接法を組み合わせた「フィールドワーク」です。現場(フィールド)に出て、対象者と会い、研究する。感染症対策の観点から考えると、こうした一連の仕事(ワーク)ができないわけです。今も、新型コロナに振り回されてかなり困っています。

 そして、同じように困ったのが、「心理学の研究法の遠隔授業がやりにくい」という事です。実験等のデモンストレーションを動画で見てもらったり、アンケート調査をオンラインで経験してもらったりしましたが、限界がありました。学生自身が身をもって体験できる方法はないかと頭をひねったところ、ふと、「オンラインでインタビュー(面接法)をやってもらおう!」とアイデアが浮かびました。そのオンライン・インタビューは、以下のようなものでした。

 提出されたレポートの内容に、目を見張りました。研究法をはじめて学ぶ1年生(再履修生もいます)が、自発的に複数名にインタビューをし(なんと10人にインタビューした学生も!)、1時間も相手の話を聞き取り(盛り上がったようです)、かなり丁寧に考察を書いていました。そうしたレポートのほとんどに、「新型コロナで経験したことを改めて聞いてみると、発見や教えられることが多く、新鮮な驚きがあった」と書かれていました。

 別の四年制大学に通う友人、短大や看護学校、専門学校で学ぶ友人、警察学校で寮生活を送りながら学ぶ友人、社会人として働いている友人など、それぞれ経験内容の細部は違っても、自分と他者の経験を比較し、客観的に捉え直すことで新たな発見や新しい見方を得ることができる。普段、なかなか会えない友人にオンラインでインタビューをすることで気分転換になると良いなと思って課した課題でしたが、想像以上に学生自身が熱心に、しかも深く考えながらインタビューを実施してくれた様子がレポートからありありと感じられました。心理学の研究方法が「深く考えるための道具の一つになる」ことを、改めて実感しました。

________

横地 早和子(YOKOCHI Sawako)

プロフィール

専門:認知心理学、教育心理学
略歴:名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士課程修了。博士(心理学)。東京大学大学院教育学研究科特任助教を経て、現職。