縫うこと、編むことの伝承(教育)で守れること

2017年7月21日 投稿者:小林 久美

 現在は、以前のように着るものを家で縫ったり、編んだりしなくてもすむ時代になりました。ですから、縫うことや編むことを教えていくことは必要ないと思われています。そのため、親子間での伝承は、ほぼないでしょう。しかし、伝承しないとどうなるでしょうか。着るものに関する知識や技術が、世代が進む毎に薄れ、消えていきます。着るものは買えばすむ、と考える人もいるかもしれません。でも、あなたの服を、作っている人、デザインを考える人、その人たちの着るものに関する知識や技術が毎回ゼロからのスタートだったらどうでしょうか。着るものの文化は発展しないですね。

 そこで、重要なのが今持っている知識や技術を次世代に伝えていく行為なのです。親子間での伝承ももちろんですが、学校教育も重要です。次世代に伝える事を仕事としているのが教育者です。そう考えると、先生とは、本当に素晴らしい職業でもあり、重大な責任がある職業ともいえますね。

 私は、大学の授業で家庭科教育を教えている他に、地域のイベントに参加し、子どもを中心に縫ったり、編んだりの体験をしてもらっています。私が、子どもに教えられる知識や技術があるのは、大学で家政学部だった頃、4年間手芸を学修したからです。フランス刺しゅう、こぎん刺しゅう、カットワーク、ドロンワーク、キャンバスワーク、ビーズエンブロイダリー、クロッシェ、マクラメなど。聞いたことがないものが多いでしょうね。私は、これら手芸の技法を教育されることで、知識や技術を身に付けました。

 教育を受けて身についた知識や技術、それらを次世代に伝えていくことで、縫ったり、編んだりの文化、着るものの文化が後退しなければいいなと思っています。ですから、これからも大学の授業だけでなく、地域のイベントなどで、もっともっと伝えていきたいと思っています。イベントに参加してくれた子どもがいつかその体験を思い出し、次世代に伝えていくことを願って。

 

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キャンバスワークの1つで、テントステッチで刺したものです。似た技法にみなさんご存じのクロスステッチがあります。

 
 

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小林 久美(Kumi Kobayashi)

プロフィール

専門:家庭科教育
略歴:福岡教育大学大学院教育学研究科家政教育専攻修士課程終了(2002)。九州女子短期大学家政科助手、九州女子大学家政学部助手、九州女子大学人間科学部講師を経て現職。