私の大学時代の思い出(及川留美先生)

2014年6月17日 投稿者:及川 留美

大学時代、長期休みになるといろいろなところへ旅行に行きました。
あまりお金もなかったものですから、友人が実家に里帰りするときに同行し、友人の実家にお世話になることもたびたびありました。
 
なぜ頻繁に旅行をしていたかというと、そこには新しい刺激があったからです。
長崎出身の友人は、ある日「大学に入学するまで自転車に乗ったことがなかった」と言いました。私は自転車に乗って田舎道を高校まで通っていたので、すぐには信じられませんでした。しかし、友人が帰省するとき、一緒に長崎に行き納得。長崎は坂や階段が多く、自転車の移動はとても不便なのです。平坦な田舎道を走るには便利な自転車も、坂道の多い土地では全く役に立たないのです。日常のあたりまえがあたりまえではなくなる経験、その経験をするために旅行に行っていたような気がします。
 
日常のあたりまえを疑ってみる視点、それは今の研究にも生きています。私は子育てについて研究をしています。なぜ子育てについて研究を始めたかというと、自分が子育てをしていてふと疑問に思ったからです。母親であれば子どもがかわいくて当たり前、子育てが楽しくて当たり前と思っていました。しかし、母親だからといって現実の子育ては楽しいことばかりではありませんでした。
 
なぜ、母親は子育てに不安を抱くのか、どうすれば母親の不安は解消されるのか、その研究は母親が子育てをするという当たり前を疑ってみることからスタートし、今でも探究し続けている研究テーマです。子育て10数年の経験を経て、今やっとその答えらしきものが見えてきました。それは子育てに多様な人々が関わることの重要性です。核家族化や、都市化が進んだ現代において母親一人のみが子育てに関わる時間が増大しました。こうした時代であるからこそ、子の母親のみではなく様々な人がその子の育ちにかかわる仕組みを作ること、それが母親にとっても子どもの育ちにとっても重要であると感じています。
 
みなさんも日常の当たり前を疑ってみませんか。そうすると何か新しいことが見えてくるかもしれませんよ。
 

oikawa_rumi
及川 留美(Rumi Oikawa)

プロフィール

専門は保育学。子育てひろばや幼稚園などのフィールド(現場)を中心に、子育て支援や子どもの遊びについて研究をしています。著書『エピソードから楽しく学ぼう 保育内容総論』など。