2020年度からいよいよ「外国語(英語)」が小学校の教科として始まります。これに伴い、小学校の先生方にとっても、小学校教員養成課程を持つ大学にとっても、とても大きな変革があります。
 まず、小学校の先生方は、英語も他の授業同様に評価をしなければならなくなります。評価を行うということは、明確な目標を持って、授業を行い、どのような効果があったのかを測ると言うことです。「小学校の外国語活動は楽しかったのに、中学校のようにテストするようになると、面白くなくなるんじゃないの」といった声も聞こえそうですね。しかしながら、そんなに簡単には児童の英語力は測ることができません。例えば、母語を学び始めの1〜2歳児の母語能力をテストで測ることができるでしょうか。外国語学習や習得においても同様です。入門期の学習者が沢山英語の単語を覚え、それをテストで言えたり書けたりしても、それを英語力が向上したことと捉えることは難しいのです。特に、子どもにおいては、学習者本人の学習の捉え方で、暗記のみを確かめるテストは、信頼性が高いとは言い難いと思います。担任の先生方にとっては、どのように評価するのかを決めることは大変な問題だと思います。
 次に、小学校教員養成課程を持つ大学では、英語の教育法と英語そのものについての知識や技能についての科目が必修となります。実際には、英語能力検定試験の2級程度の英語力が必要とも言われていますが、それにとどまらず、英語とその文化、さらに子どもが必要とする言語と言語使用に関わる知識に精通している必要があるということです。日本に生まれ、日本の文化の中で日本語で育ってきた私たちにとっては、このことを学ぶことはとても大変なことです。
 このように、小学校の先生方や小学校養成課程に所属する学生にとっては、これまで経験をしたことのない評価や学習が英語の教科化とともに始まりますので、周囲の方たちは、温かく見守っていただきたいと切に願っています。
 

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執行 智子(Tomoko Shigyo)

 

プロフィール

専門:第二言語習得・初等英語教育
略歴:津田塾大学文学研究科後期博士課程単位取得満期退学。外国語活動コーディネーター、小学校教員研修講師などを経て現職。小学生から大学生までの英語学習を概観、初等英語指導者に必要なことを研究。

 先月(11/22―28)、本学図書館で「ボローニャ世界の絵本展ー世界の白雪姫、シンデレラ絵本展」が行われました。りんごの形状をした白雪姫の絵本もあれば、とても現代的なシンデレラの絵本もあり、絵本の世界の豊かさを改めて実感しました。
 さて、シンデレラといえば妖精やガラスの靴、かぼちゃの馬車を思い浮かべる人が多いことと思います。こうしたイメージは、絵本やディズニーアニメーションなどでつくられていったのだと思われます。しかし、日本では、すでに明治20年代からシンデレラのお話が翻訳紹介されています。日本で紹介されてきたシンデレラは、シャルル・ペローかグリム兄弟が書き残したメルヘンが中心ですが、ガラスの靴が登場するのはペローのものです。グリムのシンデレラは、鳥が落としてくれた美しい服と金でできた靴を履いてお城に向かいます。もともと「シンデレラ」は、古くから口伝えされてきた物語で、ヨーロッパだけでなく、世界中に類話が見られる非常に大きな物語群を形成しています。古いものでは、紀元前5−6世紀、古代エジプトの「ロドピスの靴」まで遡ることができます。ロドピスの靴の片方を持ち去った鷲が、王様の膝の上に靴を落とし、その美しい靴に心を奪われた王様は靴の持ち主を探し出し、結婚するのです。靴を見ただけで結婚?と思われるでしょうか。実は、靴のモティーフは民俗学的には古くから結婚のシンボルとされてきました。靴は片方だけでは機能せず、両方そろって初めて完全な形になることから、男女の結婚のアナロジーとなったのです。シンデレラの靴が小さいことも、足の小さいことが美しいとされた文化的背景によっています。それぞれの時代や国で伝えられてきた昔話には、その時代の習俗、価値観が織り込まれているのがわかります。
 それは翻訳紹介される場合にもみられます。明治期に翻訳紹介されたシンデレラは美しく親切なだけでなく、「従順」で「親孝行」であると強調されます。まさに当時の道徳観が反映されたものになっています。特に子どもに向かってかかれた作品には、「こういう子に育ってほしい」という大人の思いが色濃く作品に反映されているのです。こんなふうに違う視点から昔話を読んでみるのも、面白いのではないでしょうか。
 

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佐々木 由美子(Yumiko Sasaki)

プロフィール

専門:児童文化・文学、幼児教育
略歴:白百合女子大学大学院児童文学専攻博士課程満期退学。鶴川女子短期大学講師、准教授を経て現職。絵本や紙芝居を中心に、子どもの育ちと文化について研究している。

 もうすぐ年末、今年は何をしたのだろうと振り返ると、足立区で講演を3回もやったことを思い出しました。「子育てと心の開き」に関してです。そうです、「子ども臨床心理学」の授業で、学生さんたちは習いましたね。「心を開き、健康な子どもを育てる」という、あれです。うち2回は、通信課程の学生さんの要請によるものでした。
 
 どの講演でも聴講者は、子育て中の方々だったのでしょう、熱心に聴いてくれました。大変ありがたい気持ちになりました。しかし、同時に、それでは私自身は「心が開けて」いるのだろうか、と気になりました。自分ができずに、ただ喋っているのは、感心しませんよね。
 
 そこで最近、「心を開く術」を工夫しています。数分間、座る(禅の結跏趺坐の真似)、気が鎮まる、体が和らぐ、心が喜ぶ、楽しむ、そして、開く、という順に、心の内で自分に語りかけながら、軽い瞑想の状態に入るのです。
 
 落ち着くために、日に何度か、何分間かずつ座るということは、30代からやっていました。それに、心を開くプラクティスを結びつけたのです。瞑想中はなんとなく、いい感じです。カウンセリングにも役立つように、研究としてデータを取ってみようか、などと思ったりしています。
 
 今年も、こんなとりとめもない感じで過ぎてゆくようです。下手な考え休むに似たり、という言葉も脳裏をかすめます。
 
 それにしても、子どもが健康に育つためには、保護者がまず健康でいること。病気をしないというよりも、心がゆったりして、楽しんでいる、家族が信頼しあって、助け合っていることが基本であるように思います。
 
 そのような家族の中で、子どもの心は開かれる。それを見て、親の心も開かれる。心を開くことは、そのような普通のことでもあると思います。
 
 「心を開く術」が、このような家族、特にストレスの多い、保護者をサポートできればと瞑想(妄想?)する日々です。
 

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近藤 俊明(Toshiaki Kondo)
プロフィール
専門:臨床・学校心理学
略歴:早大一文、NY市立大学、ホフストラ大学臨床・学校心理学博士課程卒、学術博士、サイコロジスト(NY州免許)、臨床心理士。NY州にて、病院、特殊教育学校、開業等を経て現職。

 皆さんは、学校を参観したことがありますか。お子さんが通っている方は、授業参観や運動会などの行事を観に行ったことがあるでしょう。そうでない方は、なかなか学校を観る機会がないかもしれません。
 近年、学校を地域に開こうと、多くの学校で「学校公開」が実施されています。保護者だけでなく、地域、一般の方々にも公開され、教育の現場を参観できるようになっています。そのねらいは、以下の3点が考えられます。
①学校教育への理解を促す
②学校教育への協力を募る
③「地域の学校」としての認知度を高める
 もし、お住まいの地域で学校公開が実施されるならば、参観することをお勧めします。きっと、さまざまな発見があることでしょう。参観のポイントがいくつかあるので、挙げてみます。
①掲示物を観る…その学校がどんなことに力を入れているのか、教室や廊下の掲示物から知ることが出来ます。特に、校長室や職員室の壁にある掲示物に注目してみてください。その学校の特色がわかりやすく示されているでしょう。
②先生方を観る…授業のはじめ、どのようにして子どもたちの興味を喚起しているのか、悩んでいる子どもへの声かけ、クラスみんなで学び合う雰囲気づくりなどなど。きっと、先生方の「匠の技」を堪能できます。途中で抜けるのではなく、1時間まるまる参観することを推奨します。
③子どもたちを観る…そして何と言っても、子どもたちの様子、表情、かかわり合いを観てください!子どもたちの生き生きとした姿を感じることが出来れば、その学校は間違いなく「良い学校」ですよ。
 
 昨今、子どもを取り巻く悲しい事件が後を絶ちません。また、学校を批判する論調も多くあります。ぜひ、実際に観て、自分自身で考えてみてください。地域の子どもたちのために、何かできることが見つかるかもしれません。子どもたちを育てるはじめの一歩を、私たちと共に踏み出しましょう。
※「学校公開」は、市区町村によって目的や実施方法が異なります。ホームページなどで確認し、所定の手続きを経て参観するようにしてください。
 

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小林 祐一(Yuichi Kobayashi )
プロフィール
専門:教師教育学、教育方法、授業研究/略歴:千葉大学大学院修士課程修了、東京都公立小学校教諭、東京学芸大学教職大学院修了、市区教育委員会指導主事、沖縄女子短期大学講師を経て、2018年4月より現職。

 先日、台風19号が去るのを待ってから、名古屋で行われている学会に参加してきました。今回の発表の内容は、家庭科の中の環境に焦点を当てたものでした。「家庭科で環境?」皆さんは、家庭科というと調理実習や被服実習をイメージすると思いますが、家庭科の4つの学習内容の1つに「消費生活・環境」という内容もあるんですよ。家庭科で取り扱う環境は幅広く、子どもが育つ環境、男女が共同しながら働ける環境、住みやすい環境など人間の福祉を追求した身近なものから地球環境のように大規模な課題まで出てきます。
 ところで、2020年以降の温室効果ガス削減に向けた日本の約束草案では、二酸化炭素の排出量については、2013年度比マイナス25.0%を目指しています。家庭部門だけで見ると約40%削減することが示されているのです。私たちの生活でもCO2削減やエコを意識しなければなりませんね。
 CO2削減、エコ、というと、どんなことを考えますか?節電や節水を思い浮かべる人も多いでしょうが、40%というかなり大きな削減です。毎日しているスマホの充電を半分にできますか?お風呂はどうでしょう?なかなかそれだけでは難しそうです。使わないだけの方法には限りがありますね。
それでは私たちは一体どうすれば良いのでしょう?環境を守る方法の一つにグリーン・コンシューマーになるのはどうでしょう。環境に配慮し、商品やサービスを購入する消費者のことです。節電や節水のように我慢するだけでなく、買い物(消費)するときに配慮することでCO2削減に貢献できます。以下にグリーン・コンシューマー全国ネットワーク提唱の10原則を挙げますので、ぜひ皆さんも意識してくださいね。
 
http://www.kankyoshimin.org/modules/activity/index.php?content_id=57
 

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小林 久美(Kumi Kobayashi)

プロフィール

専門:家庭科教育
略歴:福岡教育大学大学院教育学研究科家政教育専攻修士課程終了(2002)。九州女子短期大学家政科助手、九州女子大学家政学部助手、九州女子大学人間科学部講師を経て現職。

 先月(9/29)、私はゼミや天文サークルの学生たちとともに、足立区の未来創造館・ギャラクシティで「プラネタリウム親子バリアフリーコンサート」を開催しました。プラネタリウムという暗い空間で星を見ながら、ピアノとフルートの奏者の演奏でプロ歌手の歌を、障がい児、多胎児、乳幼児を持つお子さんたちとその保護者の方に楽しんで頂きました。コンサートの開催は、今回が3回目ですが、2年ぶりの開催だったため、学生たちの多くが、初めての体験でした。コンサート後のアンケートでは9割以上の方から、「楽しかった!」と回答をいただきました。
 先週、私の担当科目である「障害者・障害児心理学」と「発達障害学」の授業で内閣府の作成した資料を元に「障害者差別解消法」について講義をしました。この法律は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進するというものです。教員として、学生たちに自分の伝えたいことを講義させてもらえる喜びを改めて感じました。
 10/19(土)に学生300人とともに「国立障害者リハビリテーションセンター見学」の校外学習へ出かける予定です。病院や研究所もあるトップレベルの国家機関で学べる貴重な機会です。それらの見学は大学では決してできない経験をその日はたっぷり体験してくる予定です。
 2020年には、オリンピック・パラリンピックの開催で世界中から障害者の方が日本にやってきます。一人ひとりが、やさしい気持ちで障害者の方と接することで、社会は心豊かになっていくでしょう。
 今後、北千住の「和の芸術祭」、「あだちサンタウォーク」などに100人以上の学生たちがボランティアとして参加します。今年も未来大の学生たちとともに、行動を起こしていきたいと思います。
 
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小谷 博子(Hiroko Kotani)
プロフィール
専門:育児工学
略歴:東京大学大学院医学系研究科博士課程修了、博士(医学)。子育て中の親の脳機能研究に従事。行政と協同で子育てイベントを多数開催。著書は「出産で女性は賢くなる」(ごま書房)など多数。

 私はいじめ問題などの教育問題を研究しています。といっても、「こうしたらいじめが学校からなくなります」といった解決方法の提案を目指しているわけではありません。むしろ、私の関心は、問題の当事者(児童生徒、教師、保護者など)が、いじめと言われている状況をどのように認識し、理解しているかを当事者の「語り」から明らかにすることにあります。
 いじめが問題になるとき、いじめが「ある」ことを前提に議論が進んでいきます。この前提は、いじめに関して、人それぞれの認識の違いが「あってはならない」とする考えを後押しする原動力となってきました。2013年には「いじめ防止対策推進法」が制定され、2018年から教科化された道徳の教科書には、いじめをテーマとする教材が盛り込まれました(詳しくは、『悩めるあなたの道徳教育読本』(神代健彦・藤谷秀編著,はるか書房)を見てください)。こうした社会の流れの中で、問題の当事者である子どもや学校関係者が、「いじめとは認識していなかった」と言うことはほとんど不可能になっています。
 しかし、同じ出来事であっても、その出来事の認識の仕方は人によって異なっている可能性があります。それにもかかわらず、この発言は当事者の無責任な発言と捉えられ、非難の矛先となっています。一度、いじめが問題化すると、それ以前の当事者の認識が顧みられることなく、問題の解決が図られていくことこそが問題なのではないか。私が、当事者の「語り」に着目する理由は、ここにあります。当事者の主観的な「語り」を聞くことで、問題の当事者となった人たちの認識にも目を向けていく必要があると私は考えています。
 これはいじめ問題に限った話ではありません。保育者や教師は、子どもに関する「語り」を豊かに紡ぎ出す仕事でもあります。そうした「語り」を交流し合いながら、「今、ここにある子どもの姿」を探っていくことが保育者や教師の醍醐味でもあり、専門性でもあります。しかし、その語り合いの過程でさえも社会的な決まりごとや立場の違いから生じる力関係と無関係ではないことに自覚的であることも保育者や教師には必要です。いじめ問題であれ、子どものことであれ、いかにして立場や考え方の異なる当事者間で合意形成を作っていくかが問題の解決を目指すうえで重要であると考えています。学生には、社会の現状と仕組みを視野に入れたうえで、自分の意見を保育や教育の場でいかに他者に伝え、実現していくかを考え続けられる人になってほしいと思っています。
 
 

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越川 葉子(Yoko Koshikawa)

プロフィール

専門:教育社会学、教育学
略歴:立教大学大学院文学研究科教育学専攻博士課程後期課程単位取得退学。立教大学文学部教育学科助手、秋草学園短期大学地域保育学科講師、准教授を経て現職。