第100回 想起されやすい広告と広告想起を高める売場の工夫

2020年2月7日 投稿者:渡邊 隆之

 広告はそれを見て買いに来ることの効果よりも、購入時点でその広告を想起して購入することの効果に注目すべきと前回のブログで紹介しました。そして40商品の調査事例の内、「想起されやすかった広告」があり、また、「広告想起率を高めた売場の工夫」の示唆を得ることが出来ました。
 
 まず、想起されやすかった広告には、大きく2つの特徴がありました。一つめは、想像に難くないかもしれません。人気のある俳優・女優、タレントが登場する広告はそうした人物が登場しない広告に比較し、明らかに想起率に差がありました。同じ人物がいくつもの広告に登場するのも納得しますね。
 
 さて、もう一つの要素は何でしょうか?想起率の高かった広告を順番に並べて、その広告に映し出されている商品パッケージの露出時間(秒)を測定したところ、面白いことに気が付きました。想起率が高い広告ほどパッケージの露出時間が長かったのです。売場で購入者が目にするのは、商品パッケージですから、広告でそのパッケージが記憶として残っていれば、現物を見ることで記憶を再生しやすいのは当然といえるでしょう。皆さん、最近のTV広告を思い出してください。必ずパッケージが露出されていますよね。既に調査から得られた示唆がビジネスの場で実践されているのです。
 
 他方、広告想起率を高めた売場の工夫についてですが、この調査は売場を操作して新製品の販促効果を検証することを目的の一つとして設計していました。結論から言えば、商品を大量に陳列する、並べる商品(フェイス)数を増やす、見やすい場所に陳列する等の露出を高める工夫は想起率向上に寄与しました。また、ある調味料では、広告に登場したタレントの顔写真とそのキャッチフレーズを記載したPOP(売場に張り付けるポスター)を付けた場合に、付けない時の8倍もの広告想起率となりました。広告と連動した売場の仕掛の重要性が再認されました。
 
 ところで、皆さん、サービスは形がありませんが、広告想起率を高めるためにどのような工夫が考えられるでしょうか?皆さんならいくつもアイデアが浮かぶはずですよね?
 

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渡邊 隆之(Takayuki Watanabe)

プロフィール

専門:マーケティング、消費者行動
略歴:早稲田大学大学院商学研究科博士前期課程修了。(株)イトーヨーカ堂を経て、学習院大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。(財)流通経済研究所理事、創価大学・沖縄大学教授を経て現職。