第102回 「高輪ゲートウェイ駅」のフォントが気になった話

2020年4月17日 投稿者:岩﨑 智史

 桜の季節となり、日の光が心地よい時期となりましたが、生憎と昨今は連日コロナ関連の暗い話題が続いております。そんな折ですので、当コラムでもコロナ関連の話題を――具体的には、進化心理学の視点からコロナ流行と見知らぬ他者への排斥行動について――書こうとも思いましたが、楽しくなさそうな話題になりそうなので、やめました。
 という分けで、「フォント」のお話です。コラムネタを探していたら、一部ネット上で「高輪ゲートウェイ駅」(2020年3月14日暫定開業)の看板のフォントが話題になっていましたので、コロナはやめてフォントです。
 さて、話題になっていた高輪ゲートウェイ駅のフォントですが、多くの駅看板に使用されるゴシック体ではなく、明朝体が採用されています。一般的にゴシック体は留めや払いといった装飾が省略されており、線も太く、画一であるため、遠くからでも何が書かれているか見えやすい書体です(書かれている内容の見やすさを視認性と言いますが、ゴシック体は得てして視認性が高い書体と言えます)。
 一方、明朝体は留めや払いがあり、線も細いため、遠くからだと見えにくい書体です(ただし、長文の場合、ゴシック体より読みやすいといった長所があります。なお、文字の読みやすさを可読性と言います)。そのため、高輪ゲートウェイ駅の看板を見た一部の人たちから、駅看板では見慣れない明朝体に対し、違和感を覚えるとともに、視認性の低さから分かりにくいといった声が挙がったようです。
 普段、目にする標識や看板も、人の目にどのように映るかということを考えて作られています。ただ、見やすさや読みやすさに限らず、フォントは重厚さや可愛らしさといった伝えたい印象の演出にも一役買っています。色や形に比べ、注目されることは少ないですが、普段目にする雑誌や広告のフォントに注目するのも面白いかも知れません。
 

iwasaki_satoshi
岩﨑 智史 (IWASAKI Satoshi)
プロフィール
専門:認知心理学
略歴:立正大学大学院心理学研究科博士後期課程修了。東京未来大学 こども心理学部助手、同助教を経て現在、東京未来大学モチベーション行動科学部講師。